建築の歴史は、単に「建物を建てる技術」の向上だけでなく、
その時代の宗教、政治、そして技術革新(材料の変化)と密接に結びついて発展してきました
古代:祈りと権威の象徴(石とレンガの時代)

Colosseum av John, Paul W. (Herstellung) (Fotograf) – Deutsche Fotothek, Germany – In Copyright – Educational Use Permitted.
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初期の建築は、厳しい自然から身を守る「シェルター」から始まり、
やがて神への祈りや王の権威を示す「記念碑」へと発展しました
古代ローマでは「アーチ」「ドーム」「コンクリート」が発明されました
これにより、巨大な円形闘技場(コロッセオ)など、柱の少ない広大な内部空間が可能になりました
中世:構造技術の発展

Photo by Txllxt Txllxt / CC BY-SA 3.0
中世ゴシック建築は、天井の重みを線に集約するリブ・ヴォールト、
重力を垂直に逃がす尖頭アーチ、
外側から構造を支えるフライング・バットレスを組み合わせ、
石造の限界を突破しました
この骨組みの設計により、壁を排して巨大な窓と高さを実現しました
近代:機能性と効率

GB, London, Kristallpalast, 1851 av Würker, Martin (Herstellung) (Fotograf) – Deutsche Fotothek, Germany – In Copyright – Educational Use Permitted.
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18〜19世紀の産業革命が、建築の歴史を最も劇的に変えました
新素材が登場して、鉄、ガラス、そして鉄筋コンクリートの大量生産が可能になりました
鉄は鋳鉄(ちゅうてつ)から錬鉄(れんてつ)や鋼鉄が登場しました
これにより、石では不可能だった「細い支柱で巨大な空間を支える」ことが可能になりました
また、産業革命によって人々が都市に集中したことから、教会や王宮ではなく、実用的な都市のインフラが必要になりました
このことから「伝統の美」よりも「機能と効率」が重視されるように変化しました
鉄道駅: 長い列車を収めるための巨大な空間を、鉄のアーチが支えました
工場・倉庫: 火災に強く、広い作業スペースをつくれる鉄筋コンクリートが重宝されました
現代:持続可能性とテクノロジー

Photo by Castellónenred. Licensed under CC BY-SA 4.0.
Original file: WUlibrary12.jpg
21世紀、建築は「形」の追求から「地球との共生」へとシフトしています
コンピュータ(CAD/BIM)や3Dプリンティング技術により、
ザハ・ハディド氏の作品のような、
かつては不可能だった複雑な曲線美を持つ建築が可能になりました
日本建築の独自の発展
古代:仏教建築の伝来

仏教伝来とともに大陸の技術が入り、法隆寺のような堅牢な木造寺院が登場しました
それまでの竪穴式住居ではなく、瓦葺き建築が使い始められました
中世:畳と襖の和室

Source: The Room of Storks by Hideyuki KAMON / CC BY-SA 2.0
寝殿造から書院造へと変化し、現代の和室の原型が完成しました
書院造りになり、
床の間:掛け軸などが飾られ、部屋の中で格が高く神聖な場所として使われました
襖:大きな部屋を分割することができるようになり、襖絵は目的によって描かれるものが変化しました
付書院(つけしょいん): 庭の明かりをとりこみ、読み書きをするための出窓のような形をしていました
が用いられました
明治:石とレンガの西洋建築

Photo by Kakidai / CC BY-SA 4.0
明治政府は文明開化の象徴として、西洋の「レンガと石造」を積極的に導入しました
しかし、1923年の関東大震災により、耐震補強のないレンガ造りの建築は大きな被害を受けました
現在、日本の建築技術は、地震の揺れに対して、
耐震・免震・制震(建物内に重りやダンパーを設置し、揺れを吸収)の異なるアプローチを使い分け、世界トップクラスの安全性を実現しています